2014年10月3日金曜日

海外の設計士

聞き手T:高原
聞き手Y:山口
受け手M:モントリオールJCPデザイン増本氏 

 

T:日本では、住宅設計を目指す方は、学生時代から建築に関わる全般のこと、例えば
  法規や建築史、建築工法、構造計算、建築材料、デザインを学んでいます。
  海外の設計士を目指す学生も、同じなのでしょうか。美術的な面はいかが
  でしょうか。昌子さんの経験をもとに教えていただけないでしょうか。

 
M:それでは、ケベック州で建築関係の仕事に就きたい学生についてお話しします。
  ここでは、建築専門学部はエンジニアリング学部に含まれています。
  また、建築専門学部とは違い、デザインを専門とする学部がモントリオール大学
  にあり、インテリア、ランドスケープ、アーキテクチュア、アーバンプランニング
  などの学科があります。その他には私立のデザインスクールがあり、主に店舗
  デザインやCGデザインなどメディア関係のデザイナーを養成しています。
  大学の建築専門学部へは自作のポルトフォリオを提出しなければならないため、
  デザインスクールで実際の表現力を養う学生も多くいます。

 
T:自作のポルトフォリオの提出ですか。

 
M:そうです。入学申請と共に提出するポルトフォリオは入試試験に匹敵するもので、
  最低10種類の自作のコピーか写真を提出します。内容は、手書き図面、絵、彫刻、
  コンピューターグラフィックス、詳細図、模型など様々な手法を駆使して表現し、
  A4サイズに製本された最高2.5㎝厚のものです。入学の決め手は、日ごろからの
  高成績と自分のアイディアやコンセプトを巧みに表現できるスキルをすでに身に
  つけていることです。

 

T:ほう。建築が好きだからとか、一般学科の成績が良い学生が入学できるわけでは
  ないという事ですね。入学するのに、適正がみられ、素質のある人、努力した人が
  入学できる仕組みになっているというわけですね。

 
M:卒業後は、建築士免許試験に応募するためには、最低5600時間のインターン期間が
  必要ですので、通常3年かかり、その期間のコーチングをしてくれる仕事を
  得ることから始まります。学生は、在籍時からアルバイトやネットワーキング
  などを通じて将来計画を構築します。

 
Y:入学段階から専門的なスキルを必要とされるのですね。具体的に入学してからは、
  どのようなことを学ばれるのでしょうか。


M:授業内容を見ると、歴史、社会史、美術史などを学んでいるようです。
 

Y:学ぶ内容は、日本も、北米も、大きく違いはないかもしれませんね。

 
M:そうですね。システム自体はあまり変わらないでしょうね。違う点は、建築のような
  専門に入る学生はすでに年齢がいった方が多いということです。
   高校から直接入学する人の方が珍しく、大抵は仕事をして学費を稼いでからとか、
  仕事をしながら単位を少しずつ取るとか、学費と生活費を稼ぎながらの人が
  殆どです。資格を取れば高収入が約束されますが、それだけ狭き門となっています。
  フランスも、私が卒業したころはマスターを出れば建築家として仕事に
  つけましたが、今は少し違うようですね。今は、北米同様建築協会に所属して保険に
  入らなければ実務にはつけません。






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