2015年1月16日金曜日

住宅ローン

聞き手Y:山口
受け手M:モントリオールJCPデザイン増本氏 




Y:以前パリ研修で、フランスの住宅購入者について質問を   したことがありましたよね。海外の物価は日本に比べて高いと思いますが、住宅購入者はゆとりある生活を送っているように感じました。カナダの住宅購入者についても知りたいので、教えていただけませんか。

M:カナダでは、住宅ローンは連邦政府の管轄で、連邦政府の保証付きローンとなっています。

Y:日本だと保証会社ですが、政府が管理しているのですね。

M:2008年の貸付規約によると、貸付期間の最高は25年で、5%の自己資金が必要になります。その5%を前金として払い、95%までが借りられるという事です。

Y:思ったより貸してくれるのですね。

M:例えば、ファーストバイヤー(初めて住宅を買う人)が30万ドル(CAD1100円で計算すると3,000万円)の土地建物を購入するのに、1.5万ドル(CAD$1100円で計算すると150万円)の自己資金があればローンが借りられます。ただし、毎月の返済が家計の40%以内に収まってないといけないので、20万ドル前後で収まるコンドミニアムが初めての持ち家となることが多いようです。

Y:返済が困難になるような貸付はしないという事ですね。住宅ローンの金利ってどれくらいなのでしょうか。また平均的なファーストバイヤーの年収も教えてください。

M:借り入れる期間や支払い方法で異なりますが、金利は平均2.24.5%(月々13万円~17万円程度の返済)のようです。34歳が平均的ファーストバイヤーで、彼らの平均年収が約4.7万ドル。30万ドルクラスの家を買っているのは、夫婦で同じ収入クラスがある世帯の購入者が多いようで、20万ドル台の家は個人購入も多いというデータがあります。

Y:日本では、20代後半~40代で初めて住宅を購入する方が多く、年収400万円~650万円くらいで、借入2000万円~4500万円、月々の返済は8万円~11万円程度の方が多いようです。そう考えると、カナダで30万ドルの家を買うようなものかと思いますが、20万ドルのコンドミニアムが多いのはどうしてなのでしょうか。

M:この年収は手取りではなく、60%近く税金を取られますから夫婦二人で手取り5万ドルくらいが標準です。すると月収4千ドル。そのうちローンなどの返済額が家計の40%を超えないようにするとなると、ざっくり計算して月々1600ドル返済になりますので、夫婦共働きでぎりぎり払える金額でしょう。また、いつ解雇されるか解らないのでリスクを抑える傾向もあります。

Y:そういうことなのですね。

M:ただし、ファーストバイヤーは家族が成長するに従い、もっと大きな家を手に入れるようにステップバイステップをしていきます。

Y:具体的にはどんな方法でステップバイステップされるのですか。

M:もちろん、キャリアを積んでサラリーアップを図ることもしますが、市場の価格上昇により、家の値段がアップします。これを次の家の前金に充てるのです。
 
Y:やはりそこが日本と一番異なるところですね。歴史的建造物以外、家の価値が上がるという事は日本ではあり得ません。ゆとりある生活は、リスクを回避した借入と最初に買った家が買った時の価格よりも高く売れるという事からなるのでしょうね。日本もこの仕組みを目指せると良いのですが・・・
 
 
 

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