受け手M:モントリオールJCPデザイン増本氏
Y:最近、アメリカに住んでいたお客様から、日本ではお子様のアレルギーが出ていたのだけれど、アメリカに住んでいるときはほとんど出なかったという話を伺いました。空気?水?何が影響しているか分かりませんが、カナダでは、住宅において何かハウスアレルギー対策をされているのでしょうか。
M:アレルギー対策として、埃の少ない素材を選ぶことや、フィルターで埃の侵入を減らしたり、カビが生えないようよく手入れしたり、湿度管理でカビやダニの増殖を防ぐなどがあげられます。例として、こちらのサイトにいろいろなアレルギー源とその対策が挙げられています。
Y:確かに、大きくは変わりませんね。このサイトの中にある、アレルギー対策で玄関の内外にマットを敷いてほこりの侵入を減らし、家の中では戸外の靴を脱ぐとありますね。映画やドラマでは靴を脱ぐなんて見たことないですが、実際カナダではどうですか?
M:カナダ人はほとんど靴を脱ぎ室内用に履き替えます。いわゆる日本式のスリッパはお風呂上がりの寝室用で、他の部屋でははきませんけどね。招待された時は、サンダル式の靴を別に持って行きます。アメリカは脱がないようですね。しかも、訪問先で靴を脱ぐことは『長居するぞ』を意味するので、失礼にあたるだとか。
Y:そうなのですね!カナダ人は靴を履きかえるも驚きですが、アメリカで靴を脱ぐが失礼に当たるはもっと驚きです。アレルギー対策としては、日本とカナダであまり違いがないようなのですが、何か建築時に基準はありますか。例えば、日本で使う建材は、シックハウスの原因になるホルムアルデヒドの発生量が基準で決められています。
M:カナダでは建築法規にはホルムアルデヒド規制は無いですが、Health Canadaが出しているガイドラインがあり、それに準じているそうです。カナダの家では、ほとんどがボードにペイント仕上げの壁と天井で、床は無垢のフローリングなので、ホルムアルデヒドに関しての規制の必要性があまり無かったのだと思います。ペイントに含まれる鉛に関しては、うるさかったですけどね。新しい建売住宅でも、新建材と言われるものはあまり使われていません。キャビネットも無垢が好まれますし、無垢でなければラミネートなので、ホルムアルデヒドの発生がもともと少ない素材を採用しているかもしれません。
Y:カナダの家は、自然系素材が多いので、化学製品に対する規制は少ないというわけですね。
M:その代り、レンガや花崗岩のカウンタートップとか石の家だからでしょうか、Radon(ラドン)が問題になっています。ラドンとは、自然界に存在する無味無臭の放射性ガスです。モントリオール島は、花崗岩の岩盤が隆起してできたので、地表1mも掘ると、岩盤にあたるといわれています。ラドンが地下から染み出てくる危険があるわけです。気密の高い家で、ラドンが発生する場合は、家内に蓄積されないよう、ラドン探知器を奨励していますし、換気設備などで排出させる必要があります。
Y:日本とカナダの家の資材や製法、地質などが異なるので、ハウスアレルギーも違った問題があるという事ですね。
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